研究課題
基盤研究(C)
アメロジェニンの働きを調べるため、組織学的に遺伝子の増幅を行うin situ PCR法を用いて、ラット上顎切歯からの切片を使用して、発現状態を観察した。その結果、これまでの報告の通り、エナメル芽細胞と初期の未分化象牙芽細胞にアメロジェニンの発現が確認された。しかも、象牙芽細胞側において、未分化だけではなく、ある程度成熟した細胞にもアメロジェニン陽性の反応がかすかに観察された。しかし、PCR法を応用した本方法では、熱の急速な上下を繰り返すために、組織切片の断裂や破壊が数多く見られるため、in situ PCR法に変わるあらたな方法を検討した。近年、内側と外側に各2本ずつのプライマーを使用するLAMP法が開発された。この方法は75℃という一定の温度にて、通常のPCRの数十倍から数百倍という増幅効率が報告されている。今研究では、LAMP法を応用したin situ LAMP法を用いて組織試料の破壊がなく、高増幅のアメロジェニンの遺伝子発現を観察して微量の発現を検出することを試みた。これまで軟組織を用いたin situ LAMP法は数例報告されていたが、これまで硬組織に対するin situ LAMP法は報告されていない。そのため今回は主に硬組織に対するin situ LAMP法の系を確立することに重点を置きさまざまな条件にて検討を行っている。現在までに、遺伝子発現に対しては温度ではなく、反応時間を充分にとることで、遺伝子増幅が行い易いことが推察されるようになってきた。また、エナメル質の働きを左右する、その分解酵素の一つであるKLK4に注目し、歯組織以外でどのような細胞に関与するのかを検討した。その結果、口腔癌の組織において遺伝子、蛋白発現が観察されるようになり、異常細胞増幅を特徴とする癌細胞などに対してもアメロジェニンが何らかの働きを持つことが改めて確認された。
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Journal of Dentistry 34
ページ: 130-137
The journal of Clinical pediatric Dentistry 31
ページ: 199-201