研究概要 |
歯髄細胞は数種類の異なる細胞から構成されている事が知られている。しかしながらその活性は低く、長期にわたる継代培養は困難であるとされている。 これまでに我々はヒト歯髄由来細胞にSV40 large T antigenをtransfectionすることにより9種類の線維芽細胞様細胞株の樹立に成功している。さらに樹立したクローン細胞株間に遺伝子発現の違いが見られるかを調べるためにdifferential displayを行い、その結果、各細胞間で発現の異なる8種類の遺伝子を検出する事が出来た。(Suguro H et al.. Characterzation of human dental pulp-derived cell lines,International Endodontic Journal, 41, 609-616, 2008)。同様の方法を用いて細胞株の樹立を試み,新たに数種類の細胞株を得ている。 本研究では、これらの細胞株を用いてinnate immunityにおいて重要な役割を果たすとされるToll-like receptor(TLR)の発現について検討した。その結果、現在までに報告されているTLR2, TLR4に加えてTLR3を発現する細胞が存在することが明らかとなった。さらにTLR3はそのリガンドであるdouble-stranded RNA(dsRNA)に反応してケモカインやサイトカインの発現を誘導することが明らかとなっているが,本研究ではTLR3陽性細胞dsRNA刺激(-)とTLR3陽性細胞dsRNA刺激(+)した細胞間のサイトカインの発現では6倍以上の発現の違いがある事が明らかとなった。
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