研究概要 |
1.耳介形状データの抽出・収集と解析について 平成19年3月末現在で,顎変形症,外傷等で過去に撮影された3次元CTデータから収集可能なもの144症例についてデータを入手し,解析を進めている.約6割のデータについて,利用可能な形状が含まれるか否かの評価と,利用可能なものについての前段階(耳介部分の抽出)の処理が終わったところである.現時点では,そのうちの約半数余の40症例程度が利用可能で,耳介形状のデータ数としては,70余のデータが収集できた.最終的には撮影時の様々な条件により変形のあるもの等を精査した上で,100個程度のデータを収集したいと考えている. 2.形状データベースの検討 3次元形状データベースのデータ構造としては,CTのデータに近いボクセルモデルを採用するか,データ量を大幅に減らしてかつスムーズな曲面形状が構成可能な曲面パッチモデルにするかが大きな分かれ目であるが,将来に向けた生体内部構造データの保持のしやすさ等に有利な前者の形を採用することとした.前者の唯一の大きな欠点は,後者に比べて大幅にデータ量が多く,外形形状のみに限って考えれば無駄が多いことであるが,近年のパーソナルコンピュータの性能向上とストレージの容量の増大により,リアルタイムでの処理が無理なくできる環境になってきたため問題はないと判断した. 3.試作材料の検索 形状試作のための積層造形材料については,標準のスターチの他に,歯科用普通石膏,歯科用硬石膏,歯科用超硬石膏,これらの混合粉末などをテストした.また,バインダーについても,標準のバインダーの他,精製水をある程度の比率で混合したもの,さらには100%精製水のみとしたもの等でテストを行なった.その結果,歯科用超硬石膏+100%精製水で,積層間隔を0.085mm(標準のスターチでは0.700mm)でも耳介形状が十分に造形可能であることが確認できた.
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