研究概要 |
本研究は,より臨床に近い環境を支台歯形成の臨床シミュレーション実習に与えるため,支台歯のみならず,隣在歯および辺縁歯肉の損傷という周囲組織の評価も加え,より高い付加価値を備えた支台歯形成技能自動評価システムの構築を目的として行ったものである. 平成18年度は『隣在歯の損傷』を短時間にかつ高精度データとして採取する方法を確立した.すなわち,レーザー光による測定用の専用台(中央に支台歯,両脇に隣接面を上方に向けた隣在歯を配した艶消し処理済み黒色エポキシ樹脂製)を製作した.この専用台を用いて採取したデータを基に,測定時の歯の位置にずれはないか,専用台への歯の戻り具合の確認を行った結果,十分な精度で計測できることを確認した. 次に研究のテーマである『隣在歯の損傷』を計測し,その結果の画像表示方法を確立した.すなわち,隣在歯の隣接面に基準となる損傷を与え,データを採取し,未切削人工歯のデータと重ね合わせ,損傷部の差,すなわち傷の深さを等高線を用いて色分け表示を行った.その結果,隣在歯損傷の程度を視覚的に確認することが容易となった.さらに,重ねあわせた画像上に損傷部位の断面を作り,損傷の深さを定量的に計測し,客観的評価結果(数値)として提示することも可能となった. 以上,支台歯形成時における『隣在歯の損傷』の定量評価方法が確立され,より高い付加価値を備えた支台歯形成技能自動評価システムの構築の基盤を作ることができた。
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