研究概要 |
本研究は,支台歯形成教育における『隣在歯の損傷』の評価も加えた支台歯形成技能自動評価システムの構築を目的としている. 平成19年度は『隣在歯の損傷』の測定環境の確立を目標に,新規に測定ジグを作製した.各対象歯(隣在歯)の歯根部をNC加工したホルダー底部に磁石を応用したジグである.これを用いた結果,測定時間は前年の約10分の1の2分となり,しかも安定した高精度(50μm)のデータが得られ,その結果はリアルタイムに等高線表示を用いた見やすいCGで確認することができた. このジグを用いて学生による上顎左側第一大臼歯形成時の隣在歯の損傷を測定した.測定域として『真の隣接面』を設定し,当域内における損傷の最大深さと最大幅径(広さ)を求めた.その結果,両隣接面とも深さは平均0.2mm,広さは,第二大臼歯近心面では頬舌側方向に平均4.3mmと第二小臼歯遠心面の1.5倍に相当する大きな値を示した.歯冠長方向には共に平均約2.0mmの損傷が認められ,予想以上に大きく深い損傷であった. 本研究の成果は支台歯形成時の『隣在歯の損傷』を客観的測定値として算出する方法を初めて確立したことである.これは研究目的とした『隣在歯の損傷』の評価も加えた支台歯形成技能自動評価システムの構築に応用できると考えられる.このシステムを運用していけば,医原病とされる隣在歯の損傷を未然に防ぐ大きな教育効果が期待できる.
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