研究概要 |
研究代表者らは「ブラキシズムによる異常な力を顎口腔系のどの部分が負担するかによって各顎口腔疾病の発現が決定する」という仮説を立て,これまでにも数々の研究や調査を行ってきた。分かりやすく説明すると,ブラキシズムに起因する力を歯周組織が破壊されることで代償した場合には咬合性外傷が生じ,歯質の部分で代償した場合には咬耗が生じ,それらの代償が上手く行かなかった場合には顎関節症や顎顔面疼痛が生じ,また力の分散が上手く行ったケースでは無症状に経過するという仮説である。本研究の目的はこの仮説を証明することであり,さらにはブラキシズム存在下における各顎口腔疾病の枝分かれ要因の確定を最終目標と定めている。本仮説を証明し,各顎口腔疾病への枝分かれ要因を確定するための前向きコホート研究を行うことである。 本研究はボランティアを被験者として募り,各顎口腔疾病の危険因子(アンケートによる生活習慣,精神的ストレス状態,全身症状,顎関節症状等の記録,術者による口腔内の診査を行うものである.更に一年ごとにリコールを行い,各データを採取後に統計処理を行うものである. 今年度は,研究計画の詳細に関する倫理審査申請書,説明書,同意書および同意撤回書を作成し,本学の疫学研究倫理審査委員会に提出し,研究実施に関する委員会の承認を得た.それとともに,情報管理用コンピュータの設置を行い,被験者ごとのデータ集計と一括管理の準備を完了した.また現在までに,ブラキシズム発現頻度や精神的ストレス調査のための唾液中ストレス指標物質の動態に関する基礎的データについて発表を行った.
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