研究概要 |
研究代表者らは「ブラキシズムによる異常な力を顎口腔系のどの部分が負担するかによって各顎口腔疾病の発現が決定する」という仮説を立て,これまでにも数々の研究や調査を行ってきた。分かりやすく説明すると,ブラキシズムに起因する力を歯周組織が破壊されることで代償した場合には咬合性外傷が生じ,歯質の部分で代償した場合には咬耗が生じ,それらの代償が上手く行かなかった場合には顎関節症や顎顔面疼痛が生じ,また力の分散が上手く行ったケースでは無症状に経過するという仮説である。本研究の目的はこの仮説を証明することであり,さらにはブラキシズム存在下における各顎口腔疾病の枝分かれ要因の確定を最終目標と定めている。本仮説を証明し,各顎口腔疾病への枝分かれ要因を確定するための前向きコホート研究を行うことである。 本研究はボランティアを被験者として募り,各顎口腔疾病の危険因子(アンケートによる生活習慣,精神的ストレス状態,全身症状,顎関節症状等の記録,術者による口腔内の診査を行うものである.更に一年ごとにリコールを行い,各データを採取後に統計処理を行うものである. 平成18年度に本学の疫学研究倫理審査委員会に承認された研究計画にしたがい,平成19年度に同意の得られた調査を行った被験者26名(男性10名,女性16名)について1年後(2回目:平成20年度分)の調査を行った.調査が出来た被験者は20名(男性8名,女性12名)であり,6名のドロップアウトが認められた.さらに平成20年度に新たに36名の被験者(男性14名,女性22名)からの同意書,アンケート用紙調査の回収(1回目)を終えた.現在新たに追加収集されたデータの集計と分析を行っているものである.
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