研究課題
1.目的咬合と身体運動機能との関連について、種々の条件により客観性に乏しい状態で研究が進められている現状から、本研究は、動物モデルを用いて、咬合・咀嚼機能と運動機能との関連についての客観的な基礎的知見を得ることを目的として行った。2.方法実験には、Wistar ST雄性ラットを用い、16週齢からの実験期間中を固形飼料にて固形飼料群、17週齢から固形飼料と同一成分の粉末飼料にて飼育する粉末試料群、17週齢の時点で臼部歯冠を切除し、固形飼料と同一成分の粉末飼料にて飼育する臼歯切除群の3群を設定した。飼育条件は、午前8時から午後8時までを明期に、午後8時から午前8時までを暗期に維持された明暗環境下の本学動物実験センターで飼育した。なお、各群ともに実験期間中の飼料および飲料水は自由摂取とした。自発運動量の測定は小動物運動解析装置(メルクエスト社製:SCANET MV-20)を使用し、強制運動量の測定は、ラット・マウス兼用型トレッドミル(室町機械製:MK-680S)を使用した。各観察週齢において尿中5HIAA濃度、血液検査(総コレステロール量、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸濃度)を行った。3.結果と考察自発運動量は週齢に伴う減少と固形飼料群と比較して、粉末飼料群、臼歯切除群に減少傾向が認められた。強制運動量は週齢に伴う運動量の減少が認められるが、各群の間に有意な差は認められなかった。尿中5HIAA濃度は、粉末飼料群、臼歯切除群は飼料変更後濃度の増加を認め、暫時減少する傾向を示した。血液検査については顕著な傾向は認められなかった。これらの結果より、臼歯切除と粉末飼料飼育がラットの運動能力および日常活動性に影響を及ぼすことが示唆された。
すべて 2007
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日本補綴歯科学会雑誌 51
ページ: 691-698