研究課題
基盤研究(C)
チタンは他の金属材料より、耐食性および生体親和性に優れることから、歯科用金属とりわけインプラント材として数多く使用されている。しかし、チタンインプラント材は骨以外に、上皮下および上皮組織とも接触し、またその一部は口腔内に露出するため、細菌付着の場ともなっている。そこで近年、上皮組織との接着や抗菌性の賦与を目的とした表面処理の研究も行われている。チタンは安定した不動態皮膜に覆われ、それ自身ではほとんど抗菌性を示さず、むしろ歯科用合金と比較すると細菌が付着しやすい金属であると報告されている。そのため、チタンに抗菌性を賦与することはチタンインプラントの細菌由来によるインプラント周囲炎を予防する上で重要であると思われる。このような背景の下、我々の研究機関は従来までとは全く異なる陽極酸化処理という手法でチタン板に抗菌性を賦与することに成功した。本研究ではこの陽極酸化処理チタンの臨床応用への可能性を探るべくその性質を調べた結果、以下のことが明らかとなった。(1)極酸化処理チタン板はNaCl溶液のようにClのようなハロゲンを含む必要があり、その抗菌作用はある程度まで酸化処理時間に比例するが、一定の時間を超越すると却ってその効果は弱まる。(2)陽極酸化処理チタン板の抗菌作用は、グラム陰性、陽性を問わず、幅広い細菌種に対して有効であり、その効果は静置時間15分で発揮される。(3)細菌種に対しては非常に効果的であったが、真菌に対する効果は細菌のそれと比べると劣っていた。(4)現在のところ一度抗菌作用を発揮した陽極酸化処理チタン板の再利用は不可能である。(5)各種溶液に浸漬した実験結果からは、陽極酸化処理チタン板の抗菌作用はpHによるものと推測され、その効果はPBSや細胞培養用培地で失活する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Dentistry in Japan 43
ページ: 1-7
日本細菌学雑誌 62
ページ: 124
Dentistry in Japan 43(appraised)
Japanese Journal of Bacteriology 62(1)(appraised)
Jornal of Oral Biosciences 48
ページ: 206
J of Oral Biosciences 48(appraised)