研究課題
基盤研究(C)
現在、ジルコニアは歯科用CAD/CAMシステムによる切削加工法が用いられているが、完全に焼結したジルコニアは硬く加工が難しいため、ほとんどのシステムでは仮焼結の状態(或いは、バインダーで固めた状態)で加工を行い、加工後に本焼結させる手法が採られている。しかし、この方法では本焼結の段階で大きな収縮を伴うため、精度の高い修復物製作には一抹の不安が残り、また実際の臨床使用についても、まだ十分な評価がなされていない。そこでジルコニアがオールセラミックス歯科補綴修復の中心材料となることに期待をして、CAD/CAMによる製作後の適合精度から問題点を明らかにすること、ならびにジルコニアの機械的特性についても環境での影響を調べることを目的とした。CADのソフトは刀システム(ノリタケ)を用い、1歯欠損による3本ブリッジ、2歯欠損による4本ブリッジおよび5本ブリッジについて検討を行った。なおすべてのブリッジは中間欠損として製作を行った。また単純なクラウン形態についても同様に作製して精度について評価した。単冠ではCADで設定したセメントスペースがほぼ再現され、収縮分を見込んだ切削加工および本焼結によって高精度の補綴物が製作可能なことが認められた。ブリッジについては軸面で比較すると欠損部(ボンティック部)と接する側が、接しない側に比べて大きな空隙を示した。これは電気炉内でジルコニアパウダー上にて本焼成が行われるが、その際にポンティック部の重みで引かれてしまったためと考えられた。これは4本ブリッジでも同様であった。しかし、5本ブリッジでは支台が3本あるため4本ブリッジに比べると軸面の空隙が少なくなっていることが認められた。以上のことから、刀システムを用いてジルコニアブリッジを通法にしたがって製作を行うことで、歯科臨床に十分適用可能である精度の高い補綴物製作が見込めることが判明した。しかし、曲げ強さでは、20000回のサーマルサイクル後で曲げ強さの低下が認められ、これは今後試験数を重ねて詳細に検討する必要があることが示唆された。
すべて 2007
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Dental Materials Joumal 26
ページ: 820-826
Dental Materials Journal 26(6)