研究概要 |
これまでに開発してきた,CAD/CAMシステムで収集された模型の形状データは,最適化された極座標データとなっているため,RP(ラピッドプロトタイピング)システムで使用出来るデータ形式になっていない.そのため,この点群データを一旦STLデータ形式(Stadard Triangulation Language)に変換するプログラムを作成した.さらに,この変換時に作成されるSTLデータのファイルサイズを調整するために,オリジナルデータを間引く機構を組込み,出力される形状について検討した. 上顎の歯列模型を試作計測システムにより,計測ピッチ148μmで計測した.このデータを,前述の変換プログラムによりSTLデータ形式へ変換し,造形用データ作成プログラム(Catalyst, Stratasys, Inc.)で扱うことが出来るデータ形式とした.CatalystではSTLデータから自動的に積層断面と造形経路を計算し,RPシステムによる模型の再現を行なった.今回使用した小型のRPシステム(Dimension3D Printer,販売:丸紅ソリューション(株))は,ABS樹脂を熱溶解積層させて造形を行なう.完成したABS樹脂製歯列模型と,計測に用いた石膏模型の各々に対し,ノギスを用いて計測ポイント間の距離を5回測定し,平均したデータをもとに再現精度の比較を行った. 今回用いたRPシステムの積層ピッチは254μmであったため,本来計測時に得られているはずの微細な形状を十分に再現できなかった.しかし,ネットワーク経由でのデータの授受を行なうことで,さらに積層ピッチの細かい大型の装置を使用することが可能となるため,より計測データを忠実に再現することは可能となる.その足がかりとして,デジタル化された歯列模型を短時間で再現する方法として,今回用いたRPシステムが有効であることが分かった.
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