研究概要 |
申請者らは、生体内環境を重視し、A1やV以外の細胞毒性が指摘されていない元素(Zr,Nb,Ta)をチタンに添加し、長期予後を考慮したより高い生物学的安全性および機械的性質を有するTi-15Zr-4Nb-4Ta合金(以下,Ti-15-4-4)の開発を行っている。そこで平成19年度は、生体用Ti合金と比較(control)するTi合金(Ti-6%A1-4%V alloy)をウサギ大腿骨ヘインプラント(直径3.1mm、長さ30.0mm)の埋入を行った。ウサギは4、8、16、24、および48週経過ごとに安楽死させ、インプラントは大腿骨から引き抜き試験を行った。その後、引き抜いた後の大腿骨を試料とし、東芝社製マイクロCT(Toscaner-31300μhd^<(R)>,Toshiba Co., Ltd.)を用いて骨塩量およびインプラント周囲の新生骨の骨面積について結果を出した。骨塩量および骨面積は経時的に高い値を示し、また、通常用いられるインプラント(Ti-6A1-4V)材料と同等の骨形成を示すことが明らかとなった。これは生体用新チタン合金の良好な生体適合性を示していると考える。その後、骨は非脱灰標本を作製しインプラント周囲の新生骨についてFT-Ramanを用いて既存骨と新生骨との違いについて分析を行ったところ、PO_4^<3->に3cm^<-1>の差異が認められる結果となった。ここで得られた差異は、既存骨と新生骨との骨質の差異を意味していることが明らかとなった。 インプラント周囲の骨に限らず、生体の骨はリモデリングを起こすことから、今年度には新たな動物実験を予定し、他社のマイクロCTを使用して生体用新チタン合金周囲に形成される骨塩量のマッピングについて分析を行う予定である。
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