研究概要 |
長期間保管の市販2液性ポーセレンライナーMおよび1液性ラミナボンドポーセレンプライマーを用いて,グラディア,GN-1コンポジット,セラミックに対するレジンセメントの接着性を検討し,接着歯学24巻3号(2006.12月発行)に掲載した。 1.ポーセレンライナーMは,20ヶ月保管した場合の接着強さは購入直後と同等であり,保管条件の違いによる差はなかった。 2.ラミナボンドポーセレンプライマーは,20ヶ月保管した場合,接着強さが低下し,冷蔵庫保管に比べ室温保管した場合,有意に低下した. 3.ポーセレンライナーMのB液に含まれるγ-MPTSは,室温に20ヵ月保管しても変質しなかった. 4.ラミナボンドポーセレンプライマーに含まれるγ^MPTSは,室温20ヵ月保管すると,購入直後に比べて,シラン分子種の分子量が増大した. そこで,ラミナボンドポーセレンプライマーの長期保管がセラミックとレジンセメントとの接着性を低下させたことについて検討するため,1液性試作セラミックプライマーを調製し,プライマーの保管がγ-MPTSの加水分解・縮合挙動に及ぼす影響および縮合反応により生成されたγ-MPTS分子種が接着性に及ぼす影響ついて検討し,以下の結論を得た。 1.試作セラミックプライマーを20℃恒温室に7日間保管,すなわち,γ-MPTSの2量体が生成されたとき,最大接着強さが得られた。しかし,時間の経過とともに,脱水縮合反応が進行し,γ-MPTS分子種の分子量が増大するため,接着強さが低下することがわかった。 2.ラミンボンドを室温で20ヵ月間保管すると,シリコーン官能基がエチルエステル化されるためセラミック表面の処理効果が低下し,その結果,セメントの接着強さが低下することが明らかになった。 3.接着強さには,γ-MPTSの2量体成分が影響していることがわかった。
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