研究概要 |
平成18年度科学研究費補助金により,市販2液性ポーセレンライナーMおよび1液性ラミナボンドポーセレンプライマーを用いて審美修復材料とレジンセメントとの接着性を検討し,1液性ラミナボンドポーセレンプライマーは長期間の保管により,接着性が低下することを接着歯学24巻3号に掲載した。平成19年度は試作1液性セラミックプライマーを調製して接着強さの低下の機構を検討し,以下の結論を得,日本補綴歯科学会雑誌に投稿し,印刷中である。 1.試作1液性セラミックプライマーを20℃恒温室に7日間保管したとき,γ-MPTSの2量体成分の生成量が増大し,最大接着強さが得られた。しかし,保管期間の経過とともにγ-MPTS分子間で脱水縮合縮反応が進行し,分子量が増大し,接着強さが低下することが明らかになった。 2.ラミナボンドを室温で20ケ月間保管すると,シリコーン官能基のメトキシ基が,希釈剤として用いられているエチルアルコールのアルコール基とエステル交換するため,セラミック表面のシラン処理効果が低下し,接着強さが低下することがわかった。 3.γ-MPTSの2量体成分のD1成分がセラミックに対するセメントの接着強さに影響を及ぼすことが明らかになった。また,陶材とレジンとの接着に対するボンディング材の併用,被着体の粗さの影響について検討し,以下の結論を得,DENTAL MATERIALS JOURNALおよび接着歯学に投稿し,印刷中ならびに査読中である。 1.メーカー指示のシラン処理時間では,ボンディング材を併用した場合,接着耐久性が大きく低下した。 2.シラン処理時間を延長すると,ボンディング材を併用した場合,接着耐久性が減少した。 3.シラン処理時間を延長しても,シラン処理のみの場合に比べて,接着耐久性は低かった。 4.以上の結果,シラン処理後のボンディング材の併用は効果がないことが明らかとなった。
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