研究概要 |
【研究目的】 従来の味覚に関する検査法として,全口腔法,濾紙ディスク法,電気味覚法などの検査法が報告されているが,固形の試験試料を用い,咀嚼の進行による口腔内での味の広がり度との関連性に関する検査法は極めて少ない.そこで本研究では咀嚼が味覚に及ぼす影響を検索するために,新たな検査法として,咀嚼の進行(咀嚼回数)と口腔内での味の広がり度との関連性について分析を行うことを目的とした. 【研究の進捗状況】 1.実験方法の確立 まず本研究目的に則した試験試料を作製した.3%のアガロース(寒天の一成分)にスクロースを添加し,一辺15mmの立方体の試験試料を作製した.スクロースの濃度は1%,2%,5%とした.口腔内での味の広がり度は舌一部,舌片側,舌全体の3パターンとし,パターンごとに各濃度の試験試料の味を感じるのに必要な咀嚼回数の測定を行った.咀嚼回数の測定には筋電図を使用した.また実験環境,実験試料提示などは官能検査法を応用した. 2.予備実験 確立した実験方法の妥当性を判断するために,健常歯列者8名に対して予備実験を行った. 3.本実験被験者群として被験者群1(健常歯列若年者群),被験者群2(健常歯列壮年者群),被験者群3(義歯装着の患者群)を対象とした実験を現在行っている. 【研究成果(予備実験)】 スクロース1%,2%,5%添加試験試料のうち,2%,5%試験試料が咀嚼の進行(咀嚼回数)と口腔内での味の広がりとの関連性について分析を行うのに適切であることがわかった.また口腔内での味の広がり度として舌一部,舌片側,舌全体の3パターンとしたが,舌一部および舌全体の2パターンが咀嚼回数と味の広がり度を判定するのに適切であることが判明した.
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