研究分担者 |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
鄭 漢忠 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80180066)
飯塚 正 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80168062)
吉村 善隆 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30230816)
|
研究概要 |
ビスホスホネート(BPs)は強力な骨吸収抑制活性を持ち、骨粗鬆症、高カルシウム血症、乳癌や前立腺癌などによる腫瘍性骨破壊、骨パジェット病などの骨吸収の亢進した病態に対して治療に使用されている。一方、これらの疾患に対するパミドロネートやゾレドロン酸などの長期投与により顎の疼痛、軟組織の腫脹ならびに感染、歯牙動揺、骨露出などの症状をともなった顎骨壊死を生ずるという報告がある。これらは一過性あるいは永続性の顎骨への血液供給不足が原因であると推測されているがBPsとの関連性について十分な説明はなされていない。そこで本研究においてはBPsによる顎骨壊死の機序につき検討することとした。 抜歯など口腔内の観血的処置に発症することから感染との関連が推測されたので、骨芽細胞における自然免疫系につき検討した。 骨芽細胞細胞様MC3T3-E1細胞にはTo11様受容体(TLR)-1,3,4,5,6,7が発現していることが明らかになった。これらの中でウイルス由来2本鎖RNAを認識するTLR-3に注目し、以降研究を行った。 MC3T3-E1細胞にTLR-3のりガンドであるpoly(I):poly(C)を作用させると抗ウイルス作用を有するインターフェロンβ(IFN-β)の産生を促し、このIFN-βはautocrinに作用してSTAT-1を介して自らのTLR-3発現を増強することが明らかになった。マクロファージ様RAW264.7細胞をアレンドロネートで前処理した後にLPSを作用させると細胞死が促進されることや高濃度のクロドロネート、エチドロネート、パミドロネートがRAW264.7細胞におけるインターロイキン(IL)-1β、6、腫瘍壊死因子α(TNF-α)などの炎症性サイトカインの産生を抑制することが知られており、骨芽細胞においても高濃度のBPsにより自然免疫系が抑制されていることが推測される。
|