研究概要 |
高齢者のhypertensive crisesをシステム同定により予測するためには、臨床疫学的情報として臨床で発生しているhypertensive crisesの実態、患者の背景因子との関連を明らかにしておく必要がある。そこで局所麻酔下で抜歯を行う70歳以上の高齢歯科患者を対象として、これらの検討を行った。過去7年間で3679人の患者ののべ5664回の抜歯におけるmedical recordから、年齢、性別、病歴、ASA physical status, hypertensive crisesの有無、内容、hypertensive criseへの対応についてretorospectiveに調査した。Hypertensive crisesの基準は入室後、収縮期血圧180mmHg以上あるいは拡張期血圧110mHg以上を示し、治療の中止によっても低下しなかった症例とした。 Hypertensive crisesは5664回のうち339例(6.0%)で発生していた。Vagal maneuverだけで対応した症例が170例、ニトログリセリンで対応した症例が135例、さらにnicardipineを必要とした症例が23例であった。過剰な降圧などの重篤な合併症は認められなかった。患者背景因子のうちhypertensive crisesとの間に有意差が認められたのは、多重ロジスティック回帰(強制投入法)では、高血圧の既往,初診時血圧がGread2あるいは3以上、の2要素であった。さらにbackward stepwise(wald)による解析を行った結果、以下の回帰式が得られた。Log(p/(1-p))=0.028*age-0.698*[高血圧の病歴(1)]-1.814*[Great2あるいは3の初診時血圧(1)]-3.836
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