研究概要 |
今年度はダイオキシン(TCDD)による口蓋裂発症モデルマウスに対する葉酸の予防効果をin vivoにて検討した.ヒトにおける妊婦の葉酸摂取必要量を体重換算すると0.17mg/kg/日となるため,1日の葉酸摂取量を0mg/kg/日,0.5mg/kg/日,1mg/kg/日,10mg/kg/日,の4群に分けた.8週齢雌ICRマウスに上記葉酸量を哺水瓶より摂取させ,2週間後同系雄マウスと交配させた.妊娠12日目に40μg/kgのTCDDを強制経口投与させ,妊娠18日目にエーテル麻酔下頚椎脱臼後,帝王切開により胎仔を取り出し、口蓋裂の有無や着床数,体重等の異常を調べた. その結果,0.5mg/kgノ日での口蓋裂発生率は100%,1mg/kg/日では88%,10mg/kg/日では94%であった.したがって,葉酸の口蓋裂抑制効果は軽度で,統計学的に有意なものではなかった. 以上の結果よりダイオキシンにより誘発される口蓋裂に対しては葉酸投与の予防効果は少なく,葉酸の体内での核酸およびアミノ酸代謝にかかわる経路とTCDDの薬理作用点にはgapがあることが示唆された,
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