研究課題/領域番号 |
18592181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
谷 亮治 広島大学, 病院, 助手 (10291486)
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研究分担者 |
岡本 哲治 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
虎谷 茂昭 広島大学, 病院・講師 (90172220)
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キーワード | MICA / 口腔癌 / 腫瘍マーカー / オーダーメイド治療 |
研究概要 |
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然免疫において発癌抑止に重要な役割を果たすことが知られている。近年、NK細胞を活性化するレセプターとしてNKG2D分子が明らかになり、NKG2Dは、そのリガンドであるMICA(MHC class I chain-related molecule A)を認識すると細胞傷害活性を誘導することが報告された。 本研究では、口腔扇平上皮癌(OSCC)の疾患感受性とMICA遺伝子多型の関連性、およびOSCCの治療経過と血清中の可溶性MICA(sMICA)の関係について検討し、以下のことが明らかとなった。 1.MICA遺伝子多型解析の結果、OSCC患者ではA5.1型を有する個体の頻度が対照と比較して有意に高かった。 2.OSCC由来細胞株および唾液腺癌由来細胞株においてもA5.1型を有する細胞が多くみられ、それらはすべてA5.1ホモ接合型であった。 3.A5.1型OSCC患者では、初診時のNK活性は低い傾向にあった。特に4/5.1ヘテロ接合型個体および5.1ホモ接合型個体ではOSCC患者平均に比べて有意に低下していた。 4.臨床経過と血清sMICA濃度の関係を解析した結果、初診時のstageの進行に伴い、血清sMICA濃度の上昇がみられ、特にStage Iと他のstage間で有意差を認めた。 以上の結果から、OSCCの疾患感受性とMICA遺伝子多型は密接に関連しており、特にA5.1型を有する個体ではその危険性が有意に高いことが明らかとなった。さらに、sMICA濃度はOSCCの進展、再発や転移などの臨床病態の悪化に伴い上昇したことから、sMICA分子はOSCCの新たな分子標的抗原として有用である可能性が示唆された。
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