研究概要 |
1.海洋生物より抽出された物質の精製 海洋生物より抽出された天然生理活性物質を精製し構造を決定する. 日本近海に生息する海洋生物をメタノール/エタノール抽出溶媒によりヘキサン画分,酢酸エチル画分,水画分に分配し抽出された化学物質を精製する.精製された化学物質に対しBio assayを行い活性のある物質の精製を進める.それぞれの画分をThin・1ayer chromatography(TLC)を用いて分離し,分離された溶解物を構造解析装置を用いて構造決定する.また側鎖を改良し新規の誘導体を精製する. 2.抽出物質のヒトロ腔扁平上皮癌細胞に及ぼす影響の検討 当教室においてはヒトロ腔扁平上皮癌細胞の無血清培地を用いた培養系を確立している。(1)海洋生物由来の抽出物の無血清培養系におけるヒトロ腔扁平上皮癌細胞に対する増殖抑制効果と細胞毒性を全抽出物でおこない活性のある抽出物を選択する指標とする.活性のある抽出物の精製を進めそのメカニズムを解析するとともに,(2)血管新生に及ぼす影響(3)細胞分裂に及ぼす影響(4)浸潤,転移に及ぼす影響(5)ファルネシル化阻害活性,Ras蛋白活性化に及ぼす影響などについて検討する.対照としてヒト正常口腔粘膜ケラチノサイトを用いる. 3.ヌードマウスを用いた海洋生物由来生理活性物質の抽出物質投与によるin vivoでの抗腫瘍効果の検討 海洋生物から抽出した天然生理活性物質の,ヒトロ腔扁平上皮癌細胞に対する抗腫瘍効果を,ヌードマウス背部皮下移植系を用いて検討する.前年度に行ったヒトロ腔扁平上皮癌を用いたin vitroの実験結果より算出した至適濃度の生理活性物質を腫瘍内、腹腔内あるいは静脈内に投与し、その抗腫瘍効果と生体に及ぼす毒性を検討する。抗腫瘍効果は本薬剤の基剤として用いる,PBS(親水性物質の場合)あるいはDMSO(疎水性物質の場合)投与群との腫瘍のサイズの比較により行う。その毒性に関しては投与中の実験動物の死亡率、体重変化および、屠殺した際の主要臓器(肝臓、腎臓、脾臓)の湿重量を測定することにより比較検討し、本薬剤の投与量を変化させることにより実験動物におけるIC_50を算定する。また生理活性物質をラベルし生体での薬物動態を検索する.
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