研究課題
基盤研究(C)
研究1:通常の骨膜上麻酔法と歯根膜内麻酔法の局所麻酔薬浸潤経路の差異をラジオアイソトープ標識リドカインによって観察し、検討する。研究2:組織内を浸潤する局所麻酔薬の投与後時間経過による差異をラジオアイソトープ標識リドカインによって観察し、検討する。方法:東京歯科大学動物実験倫理委員会の承認後に研究を行った。(1)日本白色種系雄性兎を使用し、全身麻酔下に気管切開と静脈確保を行う。(2)14C標識1%塩酸リドカインと2%塩酸リドカイン(8万分の1エピネフリン含有)を混合した標識リドカインを兎口腔内に投与し、その後屠殺して標本を作成、BASイメージシステムを用いて14Cを撮像。(3)撮像画像と標本スキャン像を画像編集ソフトにより重ね合わせて組織内浸透性を観察した。投与部位:研究1では標識リドカイン0.06mlを30G針を使用して下顎前歯歯頚部より5mmの部位あるいは歯根膜空隙に注射投与して、それぞれを比較。研究2では標識リドカイン0.06mlを下顎前歯歯頚部より5mmの部位に投与し、投与後1、5、10分後に屠殺して標本を作成。結果と考察:研究1では歯根膜内投与例では歯根表面への14C集積が著明に観察された。研究2では14C含有リドカインは経時的に注射部位から歯根方向へ集積が拡散していた。しかし投与5分後と10分後の局在部位に著明な差は認められなかった。本法では化学構造中に14Cを含むため、組織浸透性は通常のリドカインに等しいと考えられる。今後、さまざまな局所麻酔法の組織内浸透経路の観察に本法は有用であると考えられた。
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