研究課題
基盤研究(C)
癌に対する光線力学的治療(PDT)は従来の癌治療法に比べ、低侵襲であるためQOLの観点より近年注目されてきている治療法である。しかし、根治性の点では必ずしも十分な評価が得られておらず、対象は早期癌や表在性癌となっている。本研究ではより治療効果の得られるPDTを確立するため、治療時に投与される光増感剤photofrin(pf)と5-aminolevulinic acid(ALA)の併用投与が治療効果向上に寄与するか否かについて検討した。実験にはマウスを用い,NR-S1扁平上皮癌を背部皮下に移植。腫瘍が約5mm径に増大後、ALAとpfを単独または併用投与。光照射装置はNd YAG半導体レーザー(レーザー)、または赤色キセノンランプ(ランプ)を用いた。治療効果は治療後の腫瘍体積の比率および生存率で評価した。ALAの単独投与、レーザー照射では未処置群と差が無く有意な効果が認められなかった。pfの単独投与、レーザー照射の場合は未処置群に比べ有意な腫瘍増殖抑制効果がみられ、ALAの単独投与、ランプ照射ではpfの単独投与、レーザー照射の場合とほぼ同等の効果を示した。また、ALAとpfの併用投与、ランプ照射したものが最も強い腫瘍増殖抑制効果を示し、pf単独に比べ有意な治療効果向上が図られた。以上よりALAとpfの併用投与の治療効果向上が認められ、ランプ照射がレーザー照射に比べ効果を示したのは、ALA由来protoporphyrinIXによる長波長側の光生成物による腫瘍への殺細胞効果によるものと推測された。癌に対するPDTにおいてALAとpfの併用投与による治療により、今後、根治性の向上、治療対象の拡大、増感剤投与量減量による副作用の軽減の可能性が期待された。
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Asian Journal of Oral and Maxillofacial Surgery (In press)
Oral Deseases 12
ページ: 415-419