研究課題
基盤研究(C)
矯正歯科治療における歯の移動は、負荷した矯正力に歯周組織が反応し、圧迫側の破骨細胞による歯槽骨の吸収と牽引側の骨芽細胞による新生骨の形成により生じる。そのため、矯正歯科治療には長期間を要することが多く、疼痛などによる精神的負担も大きいのが現状である。このように、歯周組織リモデリングの促進による歯の移動速度増加(治療短期化)および歯根吸収や歯の移動時に生じる疼痛などの為害作用の軽減は、矯正歯科臨床の大きなテーマである。そこで本研究では、近年、骨折の治療など整形外科領域でその有用性が報告されている超音波などの振動刺激に着目し、矯正用ワイヤーそのものが振動力を発生することを可能とした、生体安全性の高い新しい磁場駆動アクチュエートワイヤーを開発する。次に、動物実験により、新しいワイヤーを利用した矯正学的歯の移動を行い、歯の移動速度および組織為害作用について検討を行う。新ワイヤーの臨床的有用性を十分検討した上で、安全で効率的な矯正歯科治療の実現へ向け、その臨床応用を目指すことを目的とした。平成18年度には、生体用形状記憶合金としての可能性のあるTi-Nb-A1系形状記憶合金にSiを微量添加することにより、さらに特性向上に関する検討を行い、実用化に耐えうる新合金が完成した。次に、Co基磁性形状記憶合金の開発を行い、これをマイクローナノレベルで粉末化し、延性の良いポリマーと複合化した。平成19年度には、前年度までに完成したCo基磁性形状記憶合金をTi-Nb-A1系形状記憶合金を組み合わせたワイヤーを用いてスプリングを作製し、ラット上顎に装着し、第一臼歯の舌側移動を試みた。毎日一定時間、磁場印加することでワイヤーに振動力が発生し、振動刺激により歯の移動が促進される傾向が認められた。併せて、振動刺激を加えた歯の移動が周囲組織に与える影響について、実体顕微鏡を用いて検討した。
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