研究分担者 |
高戸 毅 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90171454)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員 (30344451)
小笠原 徹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20359623)
松崎 雅子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80313154)
大橋 克巳 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60233235)
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研究概要 |
本年度は、顎裂部骨欠損修復の効率を上昇させうる新規骨分化促進因子の検索を上目的として、Nanogの骨分化における役割を検討した。まず、レトロウイルスベクターを用いてNanogを安定発現する細胞株の作成を行い、マウス未分化間葉系幹細胞株C3H10T1/2を親株としたセルラインを複数樹立した。それらのセルラインを用いてその分化能を検討したところ、Nanogはマウス間葉系細胞株C3H10T1/2細胞の骨分化誘導系において、その初期分化にはおまり影響を与えず、オステオカルシンに代表される後期分化を促進することが分かった。次に、そのメカニズムを解析する目的で、BMPシグナルの下流にあるSmad1,5,8のリン酸化ならびにES細胞の自己複製に重要なSTAT3のリシ酸化をウエスタンブロットで比較検討した。その結果、Nanog導入群ではSmad1,5,8のリン酸化が長時間継続すると同時にSTAT3のリン酸化が抑制ざれる傾向があった。これらの結果から、Nanogを恒常発現させることで、間葉系幹細胞の骨芽細胞分化を促進可能である可能性が示唆された。また、Nanogの恒常発現による骨分化促進効果は、(1)骨軟骨の分化において重要なBMPシグナルを伝達するSmad1,5,8のリン酸化時間の延長と(2)ES粥細胞のシグナル伝達(多能性維持)において重要な転写因子であるSTAT3のリン酸化の減弱、とを介している可能性があると思われる。このようなBMPとSTATのシグナルクロストーグをはじめとして、今後、骨・軟骨細胞分化におけるNanogのさらなる機能解明が期待される。本研究で得られた成果を発展させて、BMPとSmadに代表されるような、これまで骨分化で重要と考えられてきたシグチル伝津終路の解析だけでは説明出来なかった新たな事実を解明し、顎裂部に応用しうる再生骨の作成に成功したい。(687字)
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