研究課題
基盤研究(C)
これまで、申請者らのグループでは骨中の細胞間ネットワークを共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察してきた。しかしながら、蛍光色素を用いたこれらの観察の解像度は、約500ナノメートルであるのに対して、対象となる構造はそれ以下(骨細管の径は、50-410nm)である。そのため、補正が必要となり、正確な立体構築には至らなかった。そこで、超高圧顕微鏡を用いることにより、解像度の問題を解決し、微細な構造を反映した仮想骨が作成されると考えた。実験・解析方法骨細胞ネットワークのトモグラフィーによる観察:16日齢ニワトリ胚頭蓋骨を取り出し、1mM collagenaseと5mM EDTAにより、骨表面に存在する細胞を取り除く。そして、頭蓋骨を3mm四方に切り出す。この切片を3%パラホルムアルデヒドで固定し、2%プロタゴール染色液を用いて48時間の鍍銀染色を行い、パラフィンに埋包し、3μm厚の切片を作製する。断層画像を得るために、切片は、金コロイド溶液に浸した。電子断層画像のためのデータサンプリングには、360°傾斜可能なホルダーを備えた3MV超高圧電子顕微鏡(H-3000, Hitachi社製)を用いた。画像は、CCDカメラ(TVIPS社製)に記録された。3次元構築はIMODを用いて行った。PC上での骨細胞の構築:上記にえられた電子断層画像を用いて、突起は画像を二値化した後、TRIソフトウェア(ラトック社)を用いて連続性した画像をえた。細胞体部は、境界部をマニュアルトレースしたものから、再構築した。結果及び考察超高圧電子顕微鏡を用いて撮影した。3μm厚の切片から、銀染色された骨細胞およびその突起の詳細な走行を観察することが可能であった。また、+/-60°の連続する写真を2°毎に撮影し、その画像をもとに、tomographyを行い、断層画像を再構築した。また、断層画像は、0.3μm毎に作製し、その解像度は8nmであった。これにより、骨細胞の突起の走行が明らかになり、この細胞の3次元的ネットワークをもとに、周囲を取り囲む骨基質の微細な構造を求めることが可能であることが示唆された。
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Microscopy and Microanalysis (印刷中)
Journal of Bone and Mineral Metabolism (印刷中)
生体医工学雑誌 解説特集 (印刷中)