研究課題/領域番号 |
18592235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 栄二 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (40273693)
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研究分担者 |
丹根 一夫 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30159032)
渡邉 峰朗 広島大学, 病院・助手 (80325183)
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キーワード | 神経因性疼痛 / サイトカイン / 疼痛伝達系 / 行動テスト / 眼窩下神経 |
研究概要 |
神経挫滅や神経切断によって生じるallodyniaやhyperalgesia(痛覚過敏)、いわゆる神経因性疼痛の発症に炎症性サイトカインであるIL-1βやTNFαが関与していることが報告されている。そこで本研究では、顎顔面領域における神経因性疼痛の実験的発症モデルを作製し、モデルの妥当性を検証するとともに、本モデルを用いて神経因性疼痛の発症における炎症性サイトカインの役割を明らかにすることを目的とした。実験としては、まずラットの上顎神経の分岐である眼窩下神経を剖出し、6-0号のナイロン系でゆるく結紮することにより、神経因性疼痛モデルを作製した。本モデルの妥当性の検証のため、行動テストとしてフォンフライを用いた咬筋部とひげの部分の疼痛反応を観察した。結果として、眼窩下神経の結紮後、1日から10日目まで明らかな上顎神経領域内の神経因性疼痛が生じることが明らかとなった。さらに、薬剤投与用チューブを通して脊髄腔内にIL-1βの拮抗薬を注入することによって神経因性疼痛の発生が抑制されることを明らかとした。また、ラット脳幹の免疫組織化学染色により、IL-1βはアストロサイトに限局して発現していることが明らかとなった。以上の所見により、神経因性疼痛の発生に炎症性サイトカイン1L-1βが関与していることが明らかとなったことため、今後は三叉神経節における炎症性サイトカインのウェスタンブロット法による定量解析を実施するとともに、神経因性疼痛の治療薬として、炎症性サイトカインのantagonistの脊髄腔内投与の有効性についても検索する予定である。
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