研究概要 |
A.actinomycetemcomitans (A.a)による歯槽骨の喪失は,宿主の免疫システムと骨芽細胞自身との相互作用による破骨細胞分化の活性化によって歯槽骨吸収が促進されることにより説明されており,A.aが直接的に骨芽細胞の分化に影響を与え,若年性歯周病の発症に関与するとの報告はない。我々は本課題によりA.a培養上清がinvitroで骨芽細胞の分化を阻害することを発見した。さらに本年はその阻害活性物質を追求した。 A.a ATCC43717の培養上清を出発材料に用い,骨芽細胞に対する分化阻害を指標として分画を行った。加熱処理とプロテアーゼ処理により失活しなかったことから,活性物質は非タンパクであると考えられた。分子量による分画からは100KD以上の巨大分子であると推察された。さらに分化阻害活性はPolymyxinBの添加で失活した。このことから,阻害物質はLPSである可能性が示された。 Westphalらの方法によりA.a ATCC43717菌体からLPSを抽出し,骨芽細胞に添加したところ,A.a培養上清と全く同様な阻害様式を示したことから,A.a LPSが骨芽細胞の分化を阻害することが示唆された。
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