研究概要 |
A. actinomycetemcomitans(A.a)による歯槽骨の喪失は, 宿主の免疫システムと骨芽細胞自身との相互作用による破骨細胞分化の活性化によって歯槽骨吸収が促進されることにより説明されており, A.aが直接的に骨芽細胞の分化に影響を与え, 若年性歯周病の発症に関与するとの報告はない。我々は本課題により A.a培養上清がin vitroで骨芽細胞の分化を阻害することを発見し, 次年度にはその活性中心がA.aの産生するlipopolysaccharide (LPS)にあることを明らかにした。 最終年度である平成20年度はLPSによる骨芽細胞の分化阻害様式を明らかにすることを目的とした。その結果, LPSにより誘導される骨芽細胞自身のケミカルメディエーターにより分化阻害が起こっているのではないこと, またLPS骨芽細胞の細胞間ネットワークを阻害することで分化阻害を引き起こす可能性が示された。さらに細胞間ネットワークの阻害は, 膜タンパクであるconnexin43の細胞内局在を変化させることで行われることが明らかとなった。
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