研究課題
乳歯から永久歯への正常な交換は小児歯科学の重要なテーマであるのにも関わらず、そのメカニズムは全く解明されていない。歯根破収は多数の形態学的な研究から永久歯の萌出によるものと考えられているが、後継永久歯胚を欠如していても生じるごとが多い現象である。また乳歯の歯根病変の予後は不良なことが多く、歯根を異常吸収してしまうことが高頻度に生じる。これに対し同様の歯根病変によって永久歯が歯根吸収を生じることは非常に稀である。以上のことから、乳歯の歯根吸収はあらかじめプログラムされていることまたは永久歯歯根が吸収眠害機構を持つことが示唆される。歯根吸収は歯根表面の破歯細胞が担うとされているが、組織学的には破骨細胞と同様と考えられている。そこで申請者らは、破骨細胞の分化誘導メカニズムについて検討を行った結果、以下のような結果が得られた。エナメル質基質蛋白質であるブメロジェニンが破骨細胞の分化を阻害することを明らかにした。これは破骨細胞め誘導因子であるRANKL,M-CSF,Fibronectinのdownregulationを介して調節されてることが明らかとなった。乳歯および永久歯歯根の周囲に存在するマッラセの上皮遺残によりアメロジェニンが産生されるため、歯根吸収の調節に関与する可能性が示唆された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Archives of Oral Biology 52
ページ: 237-243