研究課題
永久歯と比較し、乳歯象身質の物性は低く、化学的に反応しやすいとみなされている。そこで、マイルドな脱灰能を有し、齲蝕象牙質第2層に十分浸透し、操作性が簡便な乳歯の齲蝕処置に適したレジンシステムを開発する事を目的に研究を行った。平成19年度に実施した研究内容と結果: 4-META系ワンステップセルフエッチ接着性レジンであるサンメディカル社製の既存のAQ Bond Plus(AQBP)と新規開発したHybrid Bond(HB)を健全並びに齲蝕下乳歯象牙質に応用し、試料を作成した。§試験1:nano-indentation testにより、接着界面周囲の超微小硬さと弾性率<ヤング率>を測定した。§試験2:FE-SEM、SEMと銀浸漬法を用いたTEMによる接着界面の超微細構造を観察した。(1).接着界面より10-70μm下方の象牙質と比較し、接着界面部象牙質の硬さと弾性率が有意な低下を示さなかったのは、AQBP応用時の齲蝕下象牙質群のみであった。(2).健全象牙質群では、両レジン材ともに接着界面の硬さが接着界面より10-70μm下方の象牙質よりも看意に低下した。(3).両レジン材ともに健全象牙質と比較すると、硬さは約1/2、弾性率は約1/3の値であった。(4).hybrid層の厚さは、両レジン材ともに1μm以下の部位が多かった。(5).健全象牙質群では両レジン材ともに、接着界面に添って silver nanoleakage が観察された。(6).齲蝕下象牙質群では、両レジン材ともに、象牙細管の多くがミネラルで閉鎖されており、hybrid層内へのSilver nanoleakage を防止していた。しかし、齲蝕象牙質第2層のporousな組織内に銀粒子が侵入していた。両レジン材ともに、健全象牙質の接着界面とporousな齲蝕象牙質第2層中にsilver nanoleakageが観察され、修復物の予後に不利に働くと思われる。ワンスデップ型接着性レジン材については、使用方法や成分にさらなる改善が望まれる。ワンスデップ型棲着性レジン材については、使用方法や成分にさらなる改善が望まれる。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Journal of Biomedical Materials Research, Part B, Applied Biomaterials 81B
ページ: 135-141
Dental Materials Journal 26
ページ: 493-500