研究課題
基盤研究(C)
本研究は、異なる過剰活動によって咀嚼筋を疲労、損傷させ、その後適応する筋収縮と適応しない筋収縮を明らかにすることを目的とするものである。対象には7週齢の雄のラットを用いた。平成18年度は上下の切歯間の距離に応じて応力が発生するよう設計されたスプリングとその脱離を防ぐためのプロテクトシールドを製作し、手法を確立した。平成19年度はまず、筋電図で、スプリング装着時に活動量が増加することを確認した。次に組織学的検証を行なった。実験群を5群にわけ、負荷群にはスプリングを装着した。負荷群は24時間(S24群)、72時間(S72群)、144時間(S144群)の負荷を与える群をそれぞれ設定し、また、プロテクトシールドのみを144時間装着した群(P群)と、コントロール群(C群)を設定した。これらを屠殺後、咬筋および、ヒラメ筋、腓腹筋の凍結標本を作製し,酵素染色(HE染色、酸フォスファターゼ染色、チトクロームcオキシダーゼ染色、ATP-ase染色)および、免疫組織化学染色(HSP27抗体染色、Dystrophin抗体染色、Dyspherlin抗体染色)を行った。P群とC群を除き、咬筋組織の一部にネクローシスとそれに伴う細胞浸潤と細胞膜の変化およびその周囲の細胞にヒートショックプロテイン(HSP)27の発現を認めた。負荷時間により、筋組織の変化の見られる範囲が大きくなる傾向が見られた。ヒラメ筋、腓腹筋では、すべての群において変化は認められなかった。HSP27は、筋組織へのさまざまなストレスに対し発現され、抵抗性を示す。本実験においても、過剰活動のストレスにより産生されたHSP27が何らかの抗ストレス作用を示している可能性がある。スプリングの装着によってラットの咬筋の過活動が誘発され、筋組織は損傷するが、これと同時に筋細胞内においては、過剰活動に対するストレス応答が発現していることが示唆された。
すべて 2007
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