研究課題
Tannerella forsythia由来細胞毒性因子を精製し、一方の標品をforsythia detaching factor (FDF)と命名した。本研究では、歯周炎との関係を解明する為に、ヒト正常線維芽細胞TIG-3を用いてFDFの生物学的活性を検討した。形態学的変化:FDF作用細胞は、3時間後基底面より剥離後凝集し、48時間後浮遊細胞は再接着し増殖した。Western blot法による解析の結果、少なくとも4日目までFDFは安定であった。局在:FDFはミトコンドリア分画中に最も強く検出された。ミトコンドリアへの作用:NAD-linked reductase活性を分析した結果、FDFの作用後12時間以内に活性が抑制され、72時間後まで抑制効果が増強されていった。以上の結果から、FDFはNAD-linked reductase活性を量依存的に抑制するが、代謝経路の上流は阻害しないことが示唆された。NAD-linked reductase活性抑制の効果:ミトコンドリアの酸化的膜電位は、量依存的に上昇することが明らかとなった。IL-8産生の解析:培養上清中のIL-8濃度をELISA法にて測定した結果、72時間後では、FDF作用細胞におけるIL-8濃度はコントロールと比較して、有意に高値を示した。NAD-linked reductase活性の抑制は酸素消費の減少につながり、結果ミトコンドリア内に酸素が蓄積し酸化膜電位が上昇したと考えられる。FDF→NAD-linked reductase活性が抑制→活性酸素の濃度が上昇→IL-8の産生が誘導と考えられる。歯周炎患者と健常者の歯肉溝滲出液に含まれる坑CCT-1抗体の抗体価をELISA法により測定し、疾患との関連を検討した結果、歯周炎患者群の抗体価は健常者群と比較して有意に高値を示した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Journal Periodontal Research 43
ページ: 136-142
BBRC 364
ページ: 7-13