研究概要 |
歯周疾患活動性マーカーとして現在は、IL-1β,コラゲナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼやI型コラーゲン前駆体である1型プロコラーゲンC末端ペプチド(PICP)などが知られている。しかしながらこれらマーカー測定はウエスタンブロット法や肌ISA法などで測定されるのみで、大学病院などの研究室レベルでしか利用されず一般の歯科診療室レベルでバイオマーカーとして利用することは難しい。そこでプラスチック基板上にマイクロ流路を作成したバイオチップを用いた迅速・省サンプルなバイオマーカー測定系を構築し簡易、迅速、省サンプルで一般歯科医院でバイオチップを利用したマーカー解析が可能なデバイスの構築を行っている。幅300μm、深さ100pmで長さ3cmのバイオチップ上のマイクロ流路表面をポリマー処理して、パルスインジェクトを用いて流路上に直径150μmのドット状に抗PICP抗体を固定して、抗原抗体反応を利用したPICP検出系を構築した。二次抗体としてはペルオキシダーゼ標識抗PICP抗体を用いている。この結果、3μlのサンプル量で抗原導入から発光検出までわずか30分で0〜600ng/ml PICP濃度範囲で定量的なPICPの検出系構築に成功している。さらに血液をサンプルとした場合、測定対象として既存の肌ISA法と比較して統計的に差がなく正確にリアルサンプル中のタンパク質を検出することを確認している。そしてPICP以外の複数のタンパク質についても正確な検出が可能となり、バイオチップを用いることで迅速・省サンプルそして簡易に血中タンパク質の測定が可能となった。現在、マイクロ流路上に前述の各種歯周疾患活動性マーカーの一次抗体をパルスインジェクトで固定し一本の流路上で複数の抗原検出が可能なマルチ解析系の構築を行っている。
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