研究概要 |
平成18年度において,A.actinomycetemcomitans感染ヒト単球細胞のアポトーシス発現にp38が関与し,その活性化に感染細胞から産生されたTNF-αが関与する可能性について報告した。近年,細菌感染症でのToll様レセプター(TLR)の役割が注目されている。なかでもTLR2とTLR4は免疫細胞における微生物認識機構として機能し,免疫応答に関与すると報告されている。そこで平成19年度では,A.actinomycetemcomitans感染ヒト単球細胞のアポトーシス発現におけるTLRの役割について検討することを目的とした。 この結果,以下の結論を得た。 (1)A.actinomycetemcomitans感染によりTLR2 mRNAの発現が増加したが,TLR4 mRNA発現に変化は認められなかった。 (2)抗TLR2抗体はA.actinomycetemitans感染細胞の細胞死を減少させた。 (3)抗TLR2抗体の添加によりA.actinomycetemcomitans感染で増加したTNF-α産生,p38活性,NFKB活性は抑制された。 (4)本研究結果から,A.atinomycetemcomitans感染細胞のアポトーシス発現にTIR2が関与している可能性が示された。
|