Sprague-Dawleyラット歯根膜から分離、培養した線維芽細胞にブタのリコンビナントのアメロジェニン(WYQNMIR)を作用させ、アメロジェニンペプチド濃度と細胞増殖との関係をみたところ、ペプチド濃度1.5ng〜1.5μg/mLのときに細胞増殖数が増加した。一方、リコンビナントアメロジェニン(EMD)に徐放性効果をもたすために歯科用アルジネートを基材として同ラットの背部皮下に0.03、0.3、3.0、7.5、15、30mg/mLのEMDを接種し、1、3、5、7、14および30日後に安楽死させ、接種部位の組織を切除し、ホルマリン固定を行い、パラフィン包埋後、薄切してHE染色、Toluidine Blue染色、PAS染色、Masson Trichrome染色、PTAH染色をそれぞれ行ったところ、7.5mg/mLの濃度ではアルジネート塊は強い異染性を示し、EMDの周囲に好中球の軽度な浸潤と単核球の顕著な浸潤とともに炎症性水腫がみられた。15mg/mLの濃度で接種後、14日では軟骨形成があり、軟骨内骨化を伴い、骨組織の周囲にはPAS陽性の細胞質をもった類円形ないし紡錘形の細胞が並んでいた。同14日の標本には、また単核球の著明な浸潤があり、コラーゲン線維の断片化がみられ、断片化コラーゲンを縁取るように細胞が配列していた。更に断片化コラーゲンには石灰化を思わせる変化がみられた。なお、今回使用した歯科用アルジネートは接種14日以降、異物反応が顕著になっていたので、徐放性効果を発揮し、異物反応の生じない基材の開発も必要となった。 15mg/mL濃度のリコンビナントアメロジェニンを徐放性効果のある基材とともにラット背部皮下に接種すると14日後に、軟骨形成と軟骨内骨化を認めたことから、今後、徐放性効果基材の適切化を図る必要がある。
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