研究概要 |
平成18年度の結果では7.5mg/mLと15mg/mL濃度のペプチドをラット皮下に接種後に7〜14日後、硬組織が形成されたので、その間の変化をみるために接種8、10、12、14日後の肉眼的、組織学的変化を調べ、肉眼的に8日後に白色塊、10日と12日後には不明、14日後に再度、白色塊がみられた。新タイプのエムドゲイン[○!R]ゲル0.3mLをラット背部皮下に注射した結果、病理組織学的に5日後と7日後、広範囲に好酸性非定型物質と多数の単核球がみられたが、好中球は少なく、毛細血管の拡張充血はほとんどみられなかった。14日後には少量の好酸性非定型物質は残存し、単核球と線維芽細胞が増生し、好酸球が散見された。若年者と成人の歯根膜初代培養線維芽細胞のpopulation doubling timeは前者では1.32日で、後者では2.68日であった。成人の歯根膜由来線維芽細胞の培地にWYQNMIR 100ng/mLを加えた結果、7日後のALPは1日後と比較して、8倍に上昇した。培養細胞の安定供給のため市販のヒト歯根膜由来培養線維芽細胞(HPdLF)を使用し、ペプチド100ng/mLを添加し、1、3、7日培養し、FBS添加培養では7日後にALPとDNA量が増加し、FBS非添加培養では1日後に増加し、以後、減少した。HPdLFに100ng/mLのペプチドを加え、1日後と3日後のtotal RNAを抽出し、cDNAに逆転写しマイクロアレイ解析を行った。その結果、bone morphogenetic protein receptor,type 1A(BMPRIA)のmRNAが4.68倍増加し、fibroblast growth factor receptor-likeprotein 1 (FGFRL1)のmRNAが12.27倍減少した。 ペプチドに対する組織反応では硬組織の形成が観察され、in vitroの実験ではHPdLFにペプチドを作用させることによってBMPR1AのmRNAが高率に増加し、FGFRL1のそれが高率に減少したことはペプテドの硬組織形成能があることを示唆している。
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