研究概要 |
ラット背部皮下に硬組織が形成されるペプチドの至適条件は7.5〜15mg/mL濃度で接種7〜14日後であった。電験的には粗面小胞体やミトコンドリアの豊富な細胞がみられた。また、新タイプのエムドゲイン[○!R]ゲル0.3mLをラット背部皮下に注射した結果、病理組織学的には約7日で好酸性非定型物質と多数の単核球がみられた。14日後には少量の好酸性非定型物質は残存し、単核球と線維芽細胞が増生し、好酸球が散見された。しかし、硬組織形成については確認できなかった。ヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPdLF)に対するペプチドの影響については培養7日後にalkaline hosphatase活性は1日後と比較して、8倍に上昇した。また、HPdLFにペプチド100ng/mLを添加し、培養1日後と3日後のtotal RNAを抽出し、cDNAに逆転写しマイクロアレイ解析を行った。その結果、1日と比較して3日でbone morphogenetic protein receptor, type1A (BMPR1A)のmRNAが34.18倍、BMP4では1.97倍、osteonectinでは1.55倍、BMPR1Bでは1.97倍、それぞれ増加した。しかし、fibroblast growth factor receptor-like protein1(FGFRL1)のmRNAは1/25に減少した。ペプチドに対する組織反応では硬組織の形成が観察され、in vitroの実験では骨の形成に関与するBMPR1AのmRNAが高率に増加し、FGFRL1のそれが高率に減少した。このことはペプチドがHPdLFを硬組職形成に誘導することを示唆している。
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