研究分担者 |
寺田 信行 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50150339)
中正 恵二 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00217712)
山田 直子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10319858)
西村 英紀 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80208222)
橋谷 進 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00330449)
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研究概要 |
昨年度は,末梢血から歯周病原性細菌由来抗原を認識するT細胞クローンを樹立した。それらのクローン23種のうち14種のクローンがIL-22産生性であった。その後の研究期間中に,IL-22塵生性のT細胞についての新しい知見が次々に明らかになってきた。IL-22はTh17によって産生されること,その産生はIL-23によって誘導されること,またIL-22が細菌感染に対して防御的に働くことがわかってきた。そこで本年度は,歯周病の病巣局所におけるIL-22およびそのレセプター,IL-23およびそのレセプターの発現を検討し,以下の結果を得ることができた。1)歯周病患者15名の外科処置時採取歯周組織を用いて,健常部,病巣部のIL-22,IL-22レセプター,可溶型IL-22レセプター(アンタゴニスト)の発現を検討した。それぞれのmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法によって定量し,比較検討した。その結果,すべての歯周組織のどの部位においてもIL-22の発現は検出できなかった。一方,IL-22レセプターは,ほとんどすべての歯周組織において発現していた。可溶型IL-22レセプター(アンタゴニスト)の発現は,病巣部で健常部と比較して高い傾向があった。2)歯周組織でIL-22の発現が検出できなかったこと,また前年度までの研究から,末梢において歯周病細菌由来のT細胞クローンは,IL-22を産生しうることが明らかになっていることから,T細胞のIL-22産生を誘導することが近年明らかになったIL-23およびそのレセプターの歯周組織における発現を調べた。そのmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法によって定量し,さらに免疫組織学的に観察した。その結果,歯周病の病巣部において,健常部と比較してIL-23およびそのレセプターの発現が強く見られた。以上のことから,歯周組織においてIL-22産生が誘導されうる環境は整っているにもかかわらず,IL-22発現がないことが,歯周病の病態に関与している可能性が示唆された。
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