研究分担者 |
渡邊 達夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20034176)
友藤 孝明 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80335629)
江國 大輔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70346443)
山中 玲子 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00379760)
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研究概要 |
リポポリサッカライド(LPS)とタンパク分解酵素を歯肉溝に塗布して作製したラット歯周炎モデルには,肝臓の脂肪変性が観察される。本研究の目的は,ラット歯周炎モデルにおいて脂肪肝の起こるメカニズムを以下の点から検討することである。 (1)歯肉溝に塗布したLPSが血中に移行して肝臓に作用するか? (2)LPSに反応した歯周組織の細胞が活性酸素種(ROS)を産生し,そのROSが血中に移行して肝臓に作用するか? (3)LPSを塗布してから脂肪肝が起こるまでに,サイトカインは何らかの役割を果たすのか? 平成18年度はまず,末梢血中のLPSおよびサイトカイン濃度の測定条件を検討した。また,酸化ストレスマーカーとして8-ニトログアノシン(8-OHdG)の免疫染色および肝ホモジネート中の濃度の定量方法を確立した。 ラットに歯周炎を惹起した後,4週間目と8週間目にラットを屠殺し,血清中のLPS,TNF-αおよび過酸化水素の濃度を定量したところ,TNF-αと過酸化水素は4週と8週のいずれも正常ラットよりも高くなったが,LPSは8週目でのみ増加した。 8-OHdGに対する免疫染色でも組織ホモジネート中の定量分析でも,8週目の歯周炎ラットの歯周組織と肝臓において8-OHdGの陽性細胞と濃度が増加していた。 これらの結果から,(1)歯肉溝に塗布したLPSが血中に移行して肝臓に作用する可能性があること。(2)LPSに反応した歯周組織の細胞がROSを産生し,そのROSが血中に移行して肝臓に作用した可能性があること。(3)歯肉溝へLPSを塗布してから肝臓の脂肪変性が起こるまでに,サイトカインは何らかの役割を果たす可能性があることが明らかになった。 平成19年度は,歯周炎誘発ラットに高コレステロール食を与えた時の歯周組織,肝臓,血液中の酸化ストレスマーカーの変化をみる。
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