研究概要 |
本研究の目的は、ひ素ミルク中毒患者の歯科疾患(特に歯周疾患)に焦点を絞り、広島地区の被害者を対象に、ひ素ミルク中毒発生50年後の患者の障害(身体、知的、精神)程度により、それぞれの歯科保健・医療ニーズの実態を明らかにし,18年前(昭和62年)に実施した歯科アンケート調査結果と比較することによって、必要かつ効果的な歯科保健対策を策定することであった。そのため,本年度は以下のことを実施した。 1.昭和62年度調査と今回の調査の整合性の検討 1)昭和62年度調査対象者のデータをコンピュータに入力し,再度必要な分析を行った。その結果,今回の調査において考慮しなければならない問題点が整理できた,2)昭和62年度調査をもとに,今回の調査の実施時期,実施方法などについて企画・立案した。 2.「口腔保健行動・自覚症状・受診意欲・歯科保健ニーズ」調査票の妥当性の検討 1)昭和62年度調査において用いた全身的健康状態による対象者の分類が有用であることが示唆された, 2)これまでの研究を基に,「口腔保健行動・自覚症状・受診意欲・歯科保健ニーズ」調査票を作成した,3)70問からなる調査票の分量・内容および構成概念妥当性の検討を行った。 3.「口腔保健行動・自覚症状・受診意欲・歯科保健ニーズ」調査 平成19年2月に「口腔保健行動・自覚症状・受診意欲,歯科保健ニーズ」調査票を印刷し,広島県内に居住する被害患者を対象に同調査票を郵送した。現在,360名(回収率約40%)から回答を得て,データ入力中である。今後,回答が得られなかった者に再度調査に協力していただくよう依頼していく予定である。 最終年度となる来年度は,収集されたデータを多角的に分析・検討することで,必要かつ効果的な歯科保健対策を策定する予定である。
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