病院の機能評価に大きく寄与するものと考えられる精度の高い、効率的な環境安全管理を可能にする環境汚染遠隔自動監視システムを構築し、医療施設に相応しい高度な環境保全管理を具体化することにより、実践的な環境汚染リスクマネージメントの方法を提案することを目的とした。また、インターネットを利用し、無人にて遠隔地から継続的に室内環境に関する測定データの取得を図ったところ、試験期間内において一定期間のシステムの連続稼働に成功し、継続的なデータ取得の可能性が実証された。関東近郊の歯科医療施設の協力を得て、本システムによる各医療施設内の空気清浄度に関する情報管理を実施し、リスク評価のための各項目における関連性の検討を実施した。その結果、構築したすべてのシステムは稼働し、その情報から病院環境監視のマンパワー軽減に寄与することが確認できた。また、得られたデータより適切な院内感染対策に有用であることも認められた。実際の歯科治療における手術室での空中浮遊菌数の比較では、ISO清浄度クラスでは「クラス6」を維持しており、一般病院における無菌手術室、バイオロジカルクリーンルームと同等の空気清浄度であった。浮遊粉塵数の比較では、ISO清浄度クラスでは「クラス7」を維持しており、一般病院手術室と同等の空気清浄度であった。また、日本病院空調設備管理指針の清浄度分類によれば、高度清浄区域に分類され、層流式バイオクリーン病室と同等の空気清浄度を維持していた。
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