研究課題/領域番号 |
18592286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
清浦 有祐 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90194951)
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研究分担者 |
阿部 行洋 奥羽大学, 歯学部, 助手 (40405965)
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キーワード | 高齢者 / 術後肺炎 / 嚥下性肺炎 / 歯周病原性細菌 / Candida albicans / Tannerella forsythia / Porphyromonas gingivalis / interleukin-6 |
研究概要 |
1.食道癌患者術後肺炎発症における口腔微生物の関与を調べるため、まず術後の食道癌患者喀痰中の歯周病原性細菌をPCR法で検索した。その結果、38名の喀痰中Tannerella forsythia(T.f)は29名(76.3%)、Treponema dentieola(T.d)は18名(47.3%)、Fusobactenrium nueleatum(F.n)は16名(42.1%)、Porphyromonas gingivalis(P.g)は6名(15.7%)、Actinobacillus actinomycetemcomitans(A.a)は5名(13.1%)、Prevotella intermedia(P.i)は0名(0.0%)で、歯周病原性細菌が肺組織中に移行して起炎菌になる可能性が示唆された。 2.我々はT.fとP.gを同時にin vivoでマウスの肺に感染させると強い炎症症状をおこすことを認めた。それらの菌の肺に対する病原'性を詳しく解析するためにin vitroの感染実験をおこなった。マウスマクロファージ細胞株(J774.1)にT.fとP.gを感染させると炎症性サイトカインであるIL-6の産生が単独で菌を感染させた場合よりも増強された。しかし、IL-1やTNF-αの産生は複合感染で増強されなかった。したがって、IL-6の特異的な産生増強がP.gとT.fの混合感染による病態形成に関与する可能性が考えられた。 3.高齢者の口腔内に常在するCandida albicans(C.a)が術後肺炎を起こす可能性を検討するためにin vivoでマウスの感染実験をおこなった。その結果、歯周病原性細菌よりも強い炎症反応が病理組織所見で確認できた。さらに感染マウスの肺組織中ではTNF-αとIL-1の強い産生が認められた。以上の結果から、高齢者の口腔内のC.aは術後肺炎の原因菌となる可能性が高いことが示唆された。
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