1.Candida albicansをICRマウスに経鼻感染させたところ、強い病組織学的変化が認められた。特に肺胞内で著しい好中球の浸潤が認められた。この強い炎症変化は感染5日後まで継続していた。さらに肺における炎症性サイトカン産生を調べると、最も重要なサイトカインであるTNF-αの顕著な産生が認められた。その産生量は感染3日後にピークに達していた。この結果からTNF-αは肺における初期の強い炎症性病変の形成に関わっていることが示唆された。 2.食道癌患者喀痰中で検出率の高いTannerella forsythia(76.3%)とPorphyromonas gingivalisをマウスへ同時に経鼻感染させると肺と強い炎症性変化が誘導され、in vitroにおいてもマクロファージ細胞株のIL-6産生が単独感染よりも2菌種を同時に感染させた方が高まっていた。このメカニズムを明らかにするためにin vitroにおける解析を進めた。In vitroでマウスマクロファージ細胞株J774.1にTannerela forsythiaとPorphyromonas gingivalisを同時に感染させるとIL-6産生は単一菌の感染よりも増強された。しかし、Porphyromonas gingivalisが産生する歯周病原性因子の一つであるgingipainのインヒビターであるKYT-1とKYT-36を加えて培養した場合は、IL-6の産生が抑制された。この結果から、混合感染によるIL-6産生の増強効果の一部はPorphyromonas gingivalisの産生するgingipainによって担われている可能性が示唆された。
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