研究概要 |
歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalis,Tannerella forsythiaおよびTreponema denticolaは歯周ポケットで高頻度に検出される。さらに、術後の食道癌患者喀痰中から上記3菌種がPCR法で検出されたので、本年度は、この3菌種の混合感染による炎症増強の可能性を検討した。P.gingivalis ATCC33277はヘミン・メナジオン添加GAM培地で、T.forsythia ATCC43037は5%ウシ血清・ヘミン・メナジオン・N-アセチルムラミン酸添加BHI培地で、T.denticola ATCC35405はTYGVS培地で37℃嫌気培養した。マウスマクロファージ様細胞J774.1は、10%ウシ血清添加RPMI1640培地を用いて、5%CO_2、37℃で3〜6回継代培養後、96穴平底マイクロプレートに1穴あたり2×10^5播種した。共培養24時間後に上清を回収し、サイトカイン産生をELISA法で検討した。各菌単独感染で、J774.1細胞のIL-1β,IL-6,IL-23,MCP-1およびTNF-α産生誘導がみられた。さらに、10^5CFU/mlのP.gingivalisとT.forsythiaまたはT.denticolaの混合感染によって、IL-6産生に対する相乗作熔がみられた。しかしながら、他のサイトカインでは、混合感染による相乗的な産生増加はみられなかった。以上の結果から、IL-6が歯周病原性細菌の混合感染による炎症増強作用を担うことが示唆される。
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