本年度の目的である、高齢社会に対応した介護予防システムをあらゆる視点から取り入れた教育を、修業年限3年以上の新たな歯科衛生士教育のプログラムの構築については、3年制教育で介護予防に関する歯科衛生士教育を実施している学校のカリキュラムについて検討を行った。その結果、臨地実習先である通所施設で必要と思われる教育内容のカテゴリーとして、介護予防の基礎知識や専門的な知識や技能、他職種との連携があげられた。具体的には、第2学年の前期から高齢者領域の講義を入れ、後期には臨地実溜に出向き実践を重ね、第3学年では訪問介護員2〜3級程度のカリキュラムを取りいれ資格を取得させることで、介護予防領域への意識も高まり、卒業後の進路選択の幅も広がると考えられる。 また、通所施設を拠点に口腔機能向上サービス損当者から、サービスの質の向上に必要な因子を餌析した。施設側から求められる項目として、口腔ケア計画書の作成と実行、評価といったプロセスの確立や、利用者や職員に対する専門職からの講義、昼食時の摂食・嚥下の観察、食前の口腔体操などがあげられた。これらの項鼠は、介護予防に関する教育を受けた学生でも充分カバーできる項目も多いことから、学生の介入の慧義が示唆された。さらに、通所施設の利用者は歯や口腔のことに対して、大変関心が高いことも本研究で明らかになり、高齢者を支援する専門職(介護職・看護師など)が歯科衛生士や歯科医師と協働することの重要性をあらためて認識した結果となった。
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