研究概要 |
効率的な歯周疾患検診システムを構築すること目的に本研究を計画した。そのために,3つの研究を実施した。 まず,従来型健康診査法とパノラマX線写真による評価との整合性の検討を行った。調査対象は歯周疾患検診を受診し,さらにパノラマX線撮影検査を受診した男性62名,女性163名,計225名(平均年齢56.6±8.8歳)である。その結果,CPIコード0,1,2群とCPIコード3,4群での骨吸収率では,CPIコード3,4群が有意に骨吸収率の大きいことが示された(P<0.01)。CPIコード3群とCPIコード4群での骨吸収率を比較するとCPIコード4群が有意に骨吸収率が大きいことがわかった(P<0.01)。 次に,混合ガムを用いた歯科健康診査法に関する基礎的研究をおこなった。この研究は,疾病指向型から問題指向型歯科健診法への転換を目的にしたものである。245名(平均年齢24.1±5.3歳)の調査対象に対して,2色ガムを30,40,50,60回咀嚼してもらい,混合状態を調べた。混合ガムによるスクリーニングを行う場合,混合ガムを30回咀嚼と60回咀嚼の2回法が有効であると考えられた。また,1回法で行う場合には,30回咀嚼で,口腔内状況の問診項目の中で割合の違いが見られたことから,30回咀嚼で「2」「3」を良好群としてスクリーニングする可能性が示唆された。 さらに,2色ガムを用いた口腔保健状況スクリーニング法に関する検討を行った。調査対象は男性81名(40歳22名、50歳17名、60歳42名),女性254名(40歳53名、50歳72名、60歳129名)の計336名である。被験者に対して2色ガムを30回と60回咀嚼してもらい,口腔保健状況との関連性を調べた。その結果,ガムの混合状況と関連する項目として,性別,年齢,現在歯数CPIが抽出された。 以上より,歯科保健状況を多角的に捉え,歯科保健情報を歯科保健側と歯科医療側が共有することによって,効率的な歯周疾患検診システムが構築され,かかりつけ歯科医機能強化を支援していくことになると考えられた。
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