研究分担者 |
上野 栄一 福井大学, 医学部, 教授 (60262507)
KATZ Edmont C 福井大学, 医学部, 講師 (70401958)
上原 佳子 福井大学, 医学部, 講師 (50297404)
上木 礼子 福井大学, 医学部, 助教 (80401959)
佐々木 百恵 福井大学, 医学部, 助教 (00422668)
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研究概要 |
看護診断能力には,診断に必要な情報を判断する能力【診断指標判断能力】,情報から問題の原因を導き出す能力【関連因子/リスク因子判断能力】,および看護の対象となる問題に適切な診断名を命名する能力【診断ラベル決定能力】の3つの能力が必要となる。そこで本年度は,事例問題を使用し,3つの能力を明確化することに加え,診断能力に影響を及ぼす因子について分析することを目的とした。 対象は,臨床経験3年以上の看護師440名とし,自記式質問紙による調査を行った。事例はLunneyが作成した『非効果的治療計画管理』の患者(事例1)と,研究者が作成した『感染リスク状態』の患者(事例2)とした。事例問題の診断指標・関連因子/リスク因子・診断ラベルの評価基準については,経験年数10年以上の看護師16名に対し,Delphi法を用いたプレテストを実施し作成した。倫理的配慮として,紙面にて研究の趣旨と匿名性,参加の自由を説明し,回答をもって同意を得たとした。研究の実施に関しては,福井大学医学部倫理審査委員会の承認を得た。 その結果,376名(85%)の対象者から回答が得られた。事例1では,【診断指標】正解率66%,【関連因子】正解率59%,【診断ラベル】正解率53%であった。事例2では,【リスク因子】正解率72%,【診断ラベル】正解率60%であった。また,【診断ラベル】正解率は年齢および臨床経験年数が高いほど正解率が高かった。看護診断に対する態度と,診断能力との関連は見られなかったが,看護診断決定に責任を持つ看護師ほど,正解回答率が高かった。このことより,本対象者は平均臨床経験年数が約12年であったにも関わらず,看護診断過程における3つの能力を有していた者は非常に少ないことが明らかとなった。また,【診断ラベル決定能力】は教育と経験により育成される可能性が示唆されたが,【診断指標を導く能力】と【関連因子/リスク因子を導く能力】は経験とはあまり関係せず,教育介入の必要性が示唆された。
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