研究課題に対する目的と計画は、感染予防隔離患者の看護ケアの質を保証するための臨床看護師の倫理的意思決定および実践力育成プログラム作成である。今年度は、昨年度に引き続き感染予防に伴う臨床看護師の看護倫理的意思決定プロセスを明らかにし、看護倫理におけるAHP尺度の作成および倫理的実践力育成プログラムの構築である。 今回、感染予防隔離が必要なA、B病院の血液病棟に勤務する経験年数3年以上の看護師17名を対象に、感染予防隔離時の看護について半構成的質問法を用いて面接調査を行った。その後辞退者1名あり16名を分析した。その結果、感染隔離時の看護倫理的意思決定プロセスは、ヒューリスティックな因子として血液疾患および看護の知識・経験、倫理的問題の重要性、業務遂行に関わる気分・態度や時間的圧力が挙げられた。そして、これらの因子の下位層には、病気特性(病名に伴う)に対するもの、隔離(感染予防)に対するもの、告知に対するもの、ターミナルケアに対するもの(時期)が挙げられた。また、倫理的行動に影響する要因では、行動への態度として、気が重い、知識不足などがあげられ、主観的規範では、隔離されている患者の苦痛や苦悩に答えたいという動機があり、行動コントロール感では、業務が多忙、時間が取れない、自律性が確立できないことなどであった。これらが行動意図(やる気)に影響し、倫理的行動(実践力)に影響していること、看護師のジレンマとなっていることが明らかとなった。したがって、これらの因子から倫理的意思決定尺度および看護倫理的実践力育成プログラムを作成していきたいと考える。
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