研究課題/領域番号 |
18592316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中尾 久子 九州大学, 医学部, 助教授 (80164127)
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研究分担者 |
赤林 朗 東京大学, 医学系研究院, 教授 (70221710)
大林 雅之 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50176989)
家永 登 専修大学, 法学研究科, 教授 (30265706)
樗木 晶子 九州大学, 医学部, 教授 (60216497)
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キーワード | 倫理委員会 / 症例コンサルテーション / 看護職者 / 組織的対応 / 医療サービスの質 |
研究概要 |
日本病院機能評価の認定を受けた病院の看護職を対象に、倫理的問題の認識、対処、倫理委員会の有無・機能、倫理的問題を検討する場・機会、今後の取組みを含む自記式無記名の質問紙調査を行なった。倫理的配慮として、依頼文書に研究目的、方法、研究参加の自由、個人情報の守秘について説明し同意を得た場合の協力を依頼した。 2、164施設中675名の看護管理者から回答を得た。対象者は看護部長が76%を占め、病院は、医療法人などが54.9%と最も多かった。病院全体の倫理委員会がある施設は77%、看護部に倫理委員会がある施設は9.9%であった。病院全体の倫理委員会は2000年以降に急速に増加しており95%が委員会規定を持ち、目的は医学研究に関する倫理審査が最も多く、倫理的問題事例のコンサルテーションと続いていた。年間の問題事例検討の申請数は0件が32%、1〜2件32%で、医師の治療方針、人を対象とした研究・治療が多かった。倫理委員会が、十分機能しているとした回答は21%であった。 現場の看護職に関して「倫理的問題の悩みを抱えている」と65%が回答しており、倫理的関心や意識では「個人差がある」と「普通」の計が60%以上を占めていた。「問題を話合う場や機会がある」は90%で、病棟カンファレンスが主だった。話合われた内容は、インフォームドコンセント、職員の態度が多く、現在の対処法で問題解決・軽減していると回答したのは44%だった。 看護部の倫理委員会が設置されていない場合、今後の予定として「これから検討」が68%で、場や機会の充実を図る動きがみられた。看護部の倫理委員会への役割期待として、スタッフのレベルの向上、倫理的問題事例のコンサルテーションがあり、組織としての倫理的問題の対処システムを整備・充実とともに、倫理的問題の認識や対処を適切に行なえる人材の育成を図っていくことが必要であることが示唆された。
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