研究課題/領域番号 |
18592318
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
前川 幸子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (30325724)
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研究分担者 |
原田 千鶴 大分大学, 医学部, 教授 (80248971)
江崎 フサ子 四国大学, 看護学部・設置準備室, 教授 (00223644)
小幡 光子 大分大学, 医学部, 教授 (50264346)
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キーワード | 看護実践 / 実践知 / 省察 / 教育的状況 / 教育的契機 |
研究概要 |
1.本年度の研究目標 目標は、看護学教育実践の知を明らかにするためのデータ収集、分析を行うことであった。その方法として1)看護教員の教育の中に在る教員の経験に浸りながら、エピソードインタピューを用いてデータを収集する。2)教育実践における看護教員の「教育的契機」「教育的状況」について解明する、ことであった。 2.活動の実際 ・対象者:本研究の対象者(研究参加者)の要件として、看護系大学教員であること、教育経験10年以上であること、大学内で教員の教育的(指導)役割を担っていること。・データ収集方法:2段階の方法を行なった。1)フィールドワーク;看護学教育の中でも臨地実習における指導場面を中心に、教員が学生と関わる場面に参与した。2)インタビュー;教員と場面を共有した後に、学生へのかかわりに関するエピソードインタビューを行なった(インタビューは継続中)。 3.結果 1)「教育的契機」について;教員が捉える教育的契機とは、学生の看護体験であり、その看護体験を焦点化していくことであった。そのためには教員の問いの力が重要であり、その根源は教員の教育観と看護観に基づく判断力であった。また学生の体験を抽象化して表現したり、机上の既習項目にあてはめたりすることではなく、その事象に出会って生じた学生の感覚の言語化を促すこと、すなわち臨床を発信源にした教育的かかわりが重要である。そのためには、先行する学生の看護体験を、如何に受け止めるかという教員の受動的且つ能動的な能力が前提になる。 2)「教育的状況」について;学生が「今、生じている感覚は何か」を探るということは、分化させながらも、ありのままの感情へと接近することである。そのためカンファレンスなどの協働的な空間で意見を交叉させていく必要があり、並行な空間作りが大切になる。学生が自分の感情を表出しながら考えていく時に、教員の先取りした意見がその思考を邪魔してしまうことがある。それは教員が意図する以上に教員の行為が学生に影響することを意味する。教員は学生の表現を妨げないよう、また教員がその場をコントロールしないことが重要になる。臨床教育では平行な空間つくりが要となり、これは個々の教員が異なった状況ではあっても重視することとして挙げられた。
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